長谷守保 建築計画

新建築3月/建築とは何ぞや


伊東さん、乾さん、平田さん、藤本さんで背敬した、被災地陸前高田市に建つ「みんなの家」
震災後伊東さんを中心に建築家たちが様々な活動をしていて、その伊東さんが今までの自分や建築家たちが追い求めていたものに対して「『作品』という概念はもう消えた方がいい」みたいなことを反省的に色んなところで発信しているのですが、今さら伊東さんがその事を言う事に対して大変な違和感を感じています。
震災前後や、自分が若かった時代と今後では状況が違うのだから、という前提で言っているのだけど、そもそもその前後で「建築」という存在、社会に対する位置づけが質的に変わったのか?僕はNOだと思いますし、時代が許してくれているだろうと作品性ばかり追い求めてきたあなた方の世代がより建築と社会を乖離させ、震災後もご尽力されても思うようにいかない理由のひとつはそこにあるのではないのですか?と問いたいです。
しばらく前に宮城野みんなの家というのを伊東さんが設計されて、平凡な切妻に縁側というものに対して「自分でも最もフィットした感じがあった」と語り日経アーキテクチュアで「ほかの建築家があそこまで個を消すのは難しいのでは?」と問われていたのですが、その会話から読めるのは、僕たちのように地域で地道に設計をしている人間は決して建築家の仲間ではなく、個を強く打ち出す作品をつくる者のみが建築家である、と言っているに等しいと思いますし、建築家というのは実際そうなんだと思うので、だから僕は自ら決して建築家とは名乗らないようにしています。
つまり僕は「個」を主張しようなんて設計をしたいと思っていませんが、もちろんある1人の人間がひとつの形を生み出す中で必然的ににじみ出てしまう何かというのは避け難いしそれが結局その建築に何らかの魅力を与えると思うし、それで十分だと思っています。素晴らしい古建築にだって設計を誰がやったか分からないものも多いでしょ。
以前からたまに書いたり言ったりしてますが、日本では正式に国家資格として位置づけられているのは「建築士」だけですが建築士は「建築基準法」という技術的な最低限を定める法を守っていれば済んでしまうし、設計者以外にも工事業者なども持っていて、設計の独立性(三権分立と同様ここが重要)を守れる状況にないので、だから建築家(日本にはどこにも定義はなく名乗った者勝ち)たちが小さなサロンのような「建築家協会」なるものをつくって「建築士会」という一応法に基づいて設置されている最大の技術者集団から距離をとっていたり、建築士事務所協会やら建築学会やら全くまとまりのない状況なので、その中で「建築」の意義や社会性を国民や政治に正統にアピールも出来るわけも無く、、という結果が現状です。
まあまた文句ばかりですが、この状況を変えるために必要と思うことですが。。
・建築士という資格は設計専業者のみの資格とする(多少そういうながれにはあるけど甘い)
・設計施工という会社は分離せよとは言わないけれど設計と施工を分離して契約を義務とする
・建築条件付という独占禁止法違反している状態の売り方をいい加減禁止する(国民の利益を考えろ)
まあ、まずもしここまで出来れば、その後は自然と建築士が努力して社会との接点を見いだして状況は好転すると思います。。。がそこまでが難しいでしょう。
と言ってもそれを変えない事には、伊東さんのような立派な方がきれい事言ったって何も変わらないと思います。つまり体質から変えないと塗り薬を変えても目先の事にしかならないという事です。
はーー。最近毒を吐き足りないのだろうかw

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On 3月 16, 2013
by hase
in けんちくーよむ

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