長谷守保 建築計画

提案すること


今日、住宅の提案をしました。
ハウスメーカーに何社か提案してもらったけど、退屈で、という事で、私を探して頂いたようです。
私のスタンスは、まず1つの提案は、費用を頂くこともなくやっています。実際は延べでも数日間位はそのために時間を割いているので、実費でもそれなりになるのですが、その分費用をもらってしまうと、そのアイディアはそのお金で渡してしまうことになり、場合によってはそのプランを他社にもっていって実施することもできてしまうわけですが、もちろんそれが本当に良い選択なら止めはしませんが、私のプランの中には、その提案の中だけでは読み取れないような細かなイメージなどもあり、実際その提案を本当に良い形で具現化するためには、私が設計をしなければできないと信じているので、もし他の方に依頼するのなら、その提案は破棄して下さい、そのかわり費用は頂きませんので、ということにしています。
もちろん、最初の提案というのは一種の叩き台的なところもあって、設計契約をしたからと言って、そのまま進める訳ではなく、他にも様々にある可能性を改めて検討し、比較し、納得のいくところまでやって、それで基本的なプランなどが決まれば詳細な設計に移ります。
他の設計者がどうしているのかとか、それは様々だと思いますし、コンペのようなものでできる場合とかは、最初の提案を余り変えずにつくるのかもしれませんが、私の中でも、最初に建築主にボールを投げてみて、帰って来たボールを受け止めてまた考えて、、、とそれを繰り返さないと、どうもしっくりしないところがあり、こんなスタイルをとっています。
私の好きな建築家村野藤吾さんが言われていた通り、設計のうち99%は、様々な条件や要求などに謙虚に答え、残りの1%だけは設計者として聖域の部分を追求する、というような考え方が正しいと思っています。(ただその1%が本当に重たいのですが)
だから、その敷地や、使う人々の声に謙虚に耳を傾ける姿勢が大切で、それにはやっぱり時間がかかりますし、良いキャッチボールをする相手が設計者であり、その相手選びがとても大切だと思っていますし、いつもそうお話しています。
正直に、設計事務所で家をつくるという選択肢で良いのか、そして、設計者も私以外にもいろいろな方がいますので、良く比較をしてそれでも私で良いと思われば、私は最前のパートナーとなるように努力します、というようなお話をしています。
今日のご提案も、とてもびっくりして頂きましたが、どうやらハウスメーカーさんたちはどこも似たような、つまらないものを持って行かれたようです。
当たり前ですが、彼らは設計ではなく、「建てる」というただそれだけのために仕事をしていますが、私は設計者として、建てることを「考える」仕事をしています。
より良い設計を考えることだけを考えていて、設計の質が違って当たり前です。
あと、「びっくり」と書きましたが、私は決して、奇をてらったり、変わったことをやって目をひこうなんて思っていません。その敷地にもっとも相応しい、場所、空間をつくろうと素直に考えているだけですが、変な常識から一定の距離をとることができている、ただそれだけの違いです。
いや〜〜いつも固い文章ですね〜(^_^;)
でも、分かりやすさというのはとても大切で、例えば様々な家電なども、インターフェースとしてはとても分かりやすくあるべきですが、中身はどうなっているかというと、プロにしか分からないようなとても深い世界がある、でも表面はとても分かりやすく優しい。
その分かりやすくて優しいだけを表面に出しているプロなんてのは、表面だけですよ。きっと。
こうやってたまには毒も吐くのがプロです。林昌二さんという方がそんな尊敬する大先輩です。

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On 4月 27, 2008
by hase
in 住まいをつくるとは

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