長谷守保 建築計画

建築士の日

今日7月1日は、だそうです。
昭和25年の今日、建築士法が施行されたからだそうです。
実は今は入ってませんが、以前、建築士会で色々な役についたり活動をしていました。
その時親しくさせて頂いた数名と別件もあり久々に飲んでいて、戻って来いみたいな話になったのもあり、ちょっと今まで考えて来た事など書いてみようかと思いました。
まず建築士法第1条に「この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、」とあるように、「技術者」の資格であり、建築基準法も同じく「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、」と技術を定めたものです、と聞いて何とも思わない建築士が95%かもしれませんが。。
一方で、「建築」という言葉は元々日本にはなく、「Architecture」の訳語として、工学ではなく総合芸術としての属性を表す語として「建築」という訳語がふさわしいとあの伊東忠太が主張したのが始まりだと言われていますし、Architectureという語に芸術的属性があるのは間違いないですよね。
つまり、建築士法、建築基準法で使われる所の「建築」は、Architectureの訳語の「建築」とは異種のもので、むしろ「建設/Building」という言葉が妥当です。
そのボタンの掛け違いの経緯を細かく書ききれませんが、そこにこそ現在まで続く大きな問題があり、それは表面的に繕えるレベルでなく、最初からボタンを掛け直さないと直らないレベルなのですが、既にその二つの世界は、建築士会と、建築家協会などの団体に分断されてやり直そうなんて不可能に近い状況になってしまっています。
多分それはそれでいいじゃない?という方も多いとは思います。
でも一つの問題としては、つまり芸術側面を持つ建築という側面は、法的には一切規定されておらず、結果として公共建築は今だに「入札」という安ければ請けさせるという質が上がる訳もないシステムでほとんどがつくられ続けていたり、美しいもの、とても長期的な視点で価値や質を高めるような努力というものに対して「設計料」という形できちんと評価がされない状況になってしまっていて、その結果が今の日本の新しいまちなみなのだと思います。
それだけが理由ではないにせよ、僕は上記のボタンの掛け違いが最も根本的なのだとずっと信じています。
もちろん建築士の仕事は技術者の側面を多く持ちますし、職域(構造や設備だったり)によってその程度も様々ですし、その辺りを分かりやすく分けようと建築士会が取り組んで来た事は当然知っています。
でもそれでは解決しない、(しつこいですが)ボタンの掛け違いなのだと思います。
じゃあどうすればいいって思う?と聞かれて簡単に答えられる程事態はシンプルではありませんが,少なくとも歴史的経緯とその意味を共有しないと徒労に近い事になりますし、その程度の事さえ知らない人間が会の上の方で偉そうにしているのはどうかと思います。
お前が偉そうに言うな、と思う方も居るでしょうけれど、いつでも議論に応じますよ。
こんなだから、まあ復帰はできないでしょう。笑
しばらく考えないようにしていたけど、今日は何の日、という事で。

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1件のコメント

  • 2011-07-02 @ 1:54 PM
    Moriyasu_Hase

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    では議論でなく私も補足で:
    敢えて書きませんでしたが、結論としては「専兼問題」において僕は設計は専業しか認めないというフレームを再構築すべきだと思っています。歴史的経緯も現状もそれなりに理解し大変なのは分かってますがそれしかないと思います。
    つまり「考えるひと」と「つくるひと」がごちゃまぜの中で、「つくるひと」の方が資本的そしてPR能力も強いので、「考えるひと」があるべきだと願う姿が表沙汰に出来ない状況というか。
    そうなれば設計は土建業界ではなくサービス業として違う業務領域になります。
    もちろん上記でいう「芸術」というのは「考えるひと」に建築を取り戻した後のレベルの話なので、まずは取り戻さないといけないと思ってますが、人間存在に迫る何ものかは全て芸術だと、僕は思います。

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On 7月 1, 2011
by hase
in けんちくーしごと

1 Comment

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