長谷守保建築計画

工事見積のスリル


「スリル」なんて言葉、切実な問題の時に不謹慎な面もありますが、実際スリリングです。
設計事務所でもスタンスは様々で、仲の良い工務店にもちつもたれつで仕事を出すスタイルも、それはそれで長い目でバランスが取れたり、ツーカーの関係になれたりもします。でも、僕としては、やっぱりもともと工事見積なんてのはブラックボックスのどんぶりだと思っていて、その一因は設計図がきちんとしていないからなので、設計図をきちんとする代わりに、出来る限り適正に厳しい値段の競争をしてもらって、工事の質も加味しながら決める事で、限られた予算の中で、より多くの事が実現できると思ってやってきました。
いつも、建築主さんご家族の気持ちを受け止め、また少しでも建築として良いものを、と強く思えば思うほど、やはり金額は積み上がり、予算の中で、涙ながらに削らざるを得ない部分が出てきますので、やはり、適正な範囲では工事費は安いのがいいのに決まっています。
ただ、内実は、見積書を厳しくうるさくチェックして、無駄を絞り落とすと、現場に入って、不測の事があったときに逃げはきかなくなりますが、一方では、一昔前の建築家たちは(今も?)見積りの中に多少の遊びを持たせることで、現場で何か起こっても火の粉をかぶらないでいられるように細工をしていたようですし、表向きの設計料は少ない代わりに、工務店から、「バック」をもらっていたりしたようですが、そんなのは詐欺ですよねえ。。
で、スリリングの話に戻りますが、設計時にも出来るだけ後で予算が大オーバーしないように設計者としての概算をするわけですが、実際は見積書が出てくるまではドキドキです。
だいたい3社くらい見積をとりますが、同じ工務店でも、高かったり安かったり、いつもどこかが安かったりする訳ではなく、見積りにも波があります。
高いところと安いところでは1割くらい平気で差がついたりしますが、見積書を良く見ても、特に項目が抜けたりダブったり(それはうちで細かくチェックする)していなくても微妙な単価や数量の違いなどの積み上がりでそうなるのです。
競争をしてもらうことで、そのうちの一番安いところと契約できるのですが、でも、見積りという作業も、実は本当に大変です。僕も前に勤めていた設計事務所で、公共事業とかは設計者が数量を拾って明細書をつくるので、それも担当した設計ではやっていたのですが、本当に大変でしたので、契約できなかった工務店には、申し訳ないといつも思います。
最近も2件ほど見積りが出てきましたが、細かくチェックして結構金額が絞れたり、内容を様々に見直したりして、なんとか予算内で出来る限り良いものができそうかな、とそんな作業をしていました。
お金というのは、正直なので、恐ろしいですが、それをコントロールしないことには、いくら良い建築をつくろうとしてもダメですね。。身の引き締まることを経験しています。
ですが!
お金は単なる手段でしかなく、やっぱり目的は、「いいなあっ」って言える建築をつくり、それが気持ちよく使われ、愛され、残ってゆくことですし、それが僕の存在理由なんだと思います。

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On 2月 29, 2008
by hase
in 住まいをつくるとは

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