大分の上棟から長崎へ

  • 2012.10.15
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大分の住宅が上棟でした。例?の水上地鎮祭から3ヶ月。工期はあるので結局木造はプレカットでなく手加工でやって頂いていいます。予算と工期さえあれば今でも出来る大工(というか加工場もないとダメ)も多少はいるのですが、そのどちらの面でもなかなか採用できず、結果出来る大工もより減ってしまうという悪循環をなんとかしたいとの思いもあるので、嬉しいことです。やって頂いている工務店さんも社長がもともと大工なので営業や利益よりより良いものをつくりたいというのが第一なようで、話していてもとても楽しいし勉強になります。進捗はまたアップします。
で、今回の一足延ばして,は長崎にしよう!と思ったものの実は大分からはそれなりに遠く、上棟式後電車に飛び乗り、着も随分遅くなってしまいましたが、ホテルも古いけれど雰囲気の良いホテルで良かったです。

起きてまずは近くのグラバー園へ。この旧グラバー邸は1863年に建てられたそうですが、彼は21歳の開港と同時に来日しグラバー商会を設立したそうですが、そう、長崎ってそんな新しい文化が生まれ育ったところでもあり、また電車で行くと到着地(次の都市がない)なんですね。浜松なんて単なる通過地点というか、だから交通の便が良いから産業は発達するものの、どこにでもある街並みになってしまっている事と対比すると、この長崎がとても興味深く思えました。

長崎孔子廟中国歴代博物館、ですが最初笑えそうになったというか、この写真見て頂ければ分かると思いますがw
でもこれは1893年に建てられたそうで良く見ればとても良く出来ているし、展示されていた品々も素晴らしかったし、当たり前だけど中国の歴史の重たさを実感させられました。
長崎港の向こうに長崎県美術館。入りましたがいつものように隈さん(と日本設計の設計ですが)の軽薄な建築は好きになれないので行かなければいいのにと言われそうですが沢山されていて有るから仕方ないのですw石のルーバー、、、どう考えても必然性が感じられない。石でルーバーをつくるなんて。
でもこの港周りは高松伸さんなどのフェリーターミナルもありというかイベントをやっていたりジョギングをしていたりとても良い場所でした。

親和銀行大波止支店1963年白井晟一設計。質素な目立たない建築ですが白井さんらしさは感じられます。庇と円弧を描いた高層部分の離し方とかボリュームとか、簡単に真似のできないことです。
よっそぅと読むそうで創業140年だったっかな、元祖茶碗蒸しらしくあと蒸し寿司とのセットです。上品で美味しかったしなによりそんな歴史があることを羨ましく思います。と珍しく食ネタで。
平和公園から原爆資料館に入り、展示を見ながら1人旅だから尚更ですが、色んな事を考えていました。そしてそれから原爆死没者追悼平和祈念館、栗生明設計、に入ったのですが、とても残念でした。
まず施設内が分かりにくく守衛さん?が来場者にルート案内などしているのだけど本来静かな気持で追悼の念を感じるため(それだけが目的のはず)なのに守衛さんがぶっきらぼうに案内なんてしていたらどうなんでしょう?あと本来一番大切な静寂な精神性を感じさせる建築かどうか?という意味でも残念ながら全くダメでした。というかそれができていないならこの施設は不要ですよね?図書館のデザインが悪いとかはまあ仕方ないとしてもここは追悼の念を起こさせないのなら本がない図書館と同じだと思うのです。

二十六聖人殉教記念館1962年今井兼次設計。隣のガウディ風の聖堂はそれほど惹かれませんでしたが、この記念館の内部、これは本当に良かった(撮影禁止なのでアップはしません。え??)名前の通りのキリスト教の苦難の歴史や人々を伝える施設ですがキリスト教云々よりも、広い意味での信心というものの重たさや大切さを感じるには十分でしたし、そのための建築としてはとても質素なんだけどまだ100年経っても価値を保ち続ける建築だと、とても良かったです。
ラストは親和銀行本店1967年-白井晟一設計。長崎市から佐世保まで結構あるのですが、これは必ず見ておかねばという事で朝から歩き回って時間を無理矢理つくった感じですが、もちろん写真では何度も見てはいてもわざわざ行って本当に良かったと思いました。この反対面はアーケードで実はそちら側のファサード(全く違う意匠です)は良く見えないのはそれこそアーケードを撤去して欲しい!と思うくらいですしご覧の通りこちらも電線やらですが、この存在の強さは全く動じないように見えます。恐らく現代建築たちだったらすぐに動じているところだと。
白井さん、何がどう凄いんだろう?建築の本流とは全く違った、哲学や内面から生まれている彼の意匠というのは、つまり歴史や流行りや機能や、そんな様々な普通だと囚われてしまうものから自由であり、でもそれだと現代建築でもそこまでは満たすものはそれなりにあるように思われるけれど何かが大きく違う。何だろう??と考えて、更にもうひとつ未来というかこれからの時間の経過から自由だ、というか逆に言うと現代建築は今後の時間のながれの中で汚れ、割れ、朽ちてゆく様が見えてしまうけれど白井建築にはピラミッド(もちろん朽ちて行ってはいるけど)が持っているような遠い未来に対しての強度どいうのも併せ持っている、そこが大きな違いなのではないかと改めて感じました。
また、長崎という都市は山と海に囲まれ、こじんまりとした場所(というか平地が少ない)にそんな深い歴史や自然が沢山あり、交通的にも端っこにある不便さが良い方に働いて、とても好きな場所でした。一言で現すと「親密」というか、様々な要素があるんだけど大都市のような冷たさではなく、喩えると小さい部屋に色んなキャラの親戚一同が集まって、それもおじいちゃんが外国人、みたいなw。良くわからんか。。
というわけで足腰が痛いですw
長崎土産はクジラのベーコン、さえずり、すえひろのブロック。ちょっと楽しみです。