長谷守保 建築計画

古き良き住宅


浜松市内にあり、1937年に建てられ、国の登録有形文化財にも指定されている住宅です。
数年前からご縁があって中を見せて頂いていたり、外壁などの修復工事に関わらせて頂いたりしてきました。
1枚目の画像は、東隣の土地が分譲住宅をつくっており、そちらからの写真です。
画像にも見える、レンガの壁が、少し傾いていたりするので、撤去して欲しい、という分譲業者からの申し出があったのですが、このレンガ塀は建物よりもっと古く(100年近く?)歴史と思い出のある塀ですし、補強もしてあり、そう簡単に無くしてしまう訳にはいかないものなので、私が代理役をさせて頂き、多少の補修などで残すように、今日話してきました。
業者側は、全部無くして、簡単なメッシュフェンスにしたいなんて話でしたが、こんなに雰囲気のある、そしてその向こうには文化財の住宅が残っている、なんて環境をなんで簡単に壊して、そんな安っぽい環境にしたいと思えるのでしょうか??
このレンガ塀に面して、引き込み道路がつくられ、5戸ほどの住宅がつくられるようですが、恐らくそこは子供達の遊び場にもなりそうですし、そこにそんな歴史のあるレンガ塀が残っているなんて、きっと数十年後、そこで遊び育った子供達の良い記憶になると信じます。
ちなみに、2枚目の画像の2階の道路側の外壁が少し明るい木の色になっているところは張り替えをしているので色が違います。
この住宅を見せて頂き、改修に立ち会わせて頂き、木造住宅や、外壁の板張りや漆喰などが、こんなにも永く、風格を増しながら、生き続けている様を見て、自分の設計に勇気をもらってきました。
また機会があれば内部の写真もアップしたいのですが、とても飾り気はないですが、品のある和室空間で、古さを全く感じさせないところがとても驚きです。
日本には、このような「模範解答」と言えるような住宅のスタイルが存在していたのだと思いますが、今の時代はそんなものは消えてしまいましたし、確かに多様であることにも現代の価値があるとは思いますが、どこかで、こんな、模範回答とも言えるようなものが存在すべきだと思います。
もちろん同じような純和風をつくるには大変なお金がありますが、同じような良さを備えた木造住宅を、それほどお金をかけなくても目指す事は十分にできると思います。
僕もそれほど、古い和風の建築と、自分の設計を結びつけて考えてこなかった面はありましたが、この住宅に出会ってからは、やはり、自分の寿命より永く、品位と風格を増しながら存在してくれるような住宅や建築を残したいと強く思い、多くを学ばせてもらっています。

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On 1月 29, 2008
by hase
in けんちくーみる

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