長谷守保 建築計画

利休にたずねよ

とても良い映画でした。
私は美しいもののみに額(ぬか)づく。という言葉が全てを語っているように思います。
つまり権威には全く与しないし、美しいという山頂があるだけだから素直な心にさえなれれば深く染み入るけど権威を振りかざす者からは結局疎んじられるしかない運命だった。ので秀吉に切腹させられた。
建築をやっているからもちろん茶室についてはそれなりに勉強もしてきたけれど、利休の奥方が待庵の感想として、悪い事をして狭いところに隠れて親に見つかるのをビクビクしている感じと言うのだけれど、つまりはとても心が敏感になるような場所にしたかったという事なのか、と合点がゆきました。
でもその美しさというのも秀吉たちがそうだったように単なる高級な趣味になってしまいがちで、大切なのはなぜその「美しさ」をそこまで追求しなければならないかを理解しないといけないなあ、と考えていたら、最近気になっていた夏目漱石の草枕の冒頭が浮かびました。

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る」

「住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。」

そう。だから美が必要なのだと。
そして乱世で権威が力づくでぶつかりあっている時代だったからこそ茶の世界が生まれたのかなと。
そして、建築物が美しくなければならない理由も同じだと思います。

帰りに本屋さんで草枕買って帰りましたw

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On 12月 15, 2013
by hase
in みるーよむーかんがえる

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