長谷守保 建築計画

レ・ミゼラブル

ある方の一番好きな本、と聞き、大作でしたが大変面白く読みました。
貧しさから止まれず、1本のパンを盗んだことで19年の監獄生活から出てきた主人公、ジャン・バルジャン。人間不信の塊のような男が、とある司教との出会いで神のような心に生まれ変わる。様々な出会いを通じて神のような行いをしながら、でも彼の罪は消えず、追われ、隠れ、最後は、、、と、、中途半端にまとめて書評してもつまらないし、個人的に思った事をいくつか。
まず、映画で涙したことはあっても、活字で涙、って僕は記憶にない中で、エンディングは少し涙が。。歳のせいか?でもストーリーがとても良くできているのは間違いない。「レ・ミゼラブル」には虐げられる人々、とその反対の虐げる人々、という意味もあるそうで、やはり描きたいのはその残酷さだろう。一生懸命生きているだけなのに虐げられたり、悪意もないのに虐げる側に無意識に回っていたり。
僕は「罪を憎んで人を憎まず」という言葉はとても重要だと思っているけど、上記のようにジャンにパンを盗ませたのはその社会であり、「盗み」は無くさなければならないけどジャンをいくら責めても盗みは無くならないのだ。
本書にはたくさんのレ・ミゼラブル(虐げられた人々)が登場し、ジャンが、その神に生まれ変わった心でその何人かを(無意識的に?)救い、彼らと幸せな最後を迎えることもできたのに、自らは罪人だという事を隠し続けることでその幸せを奪いかねないからと、自らの首を絞めるように命を絶ってしまう。けど最後はとても感動的なシーン。
ドストエフスキーもそうだけど、単に物語としても面白いけど、深読みすれば人間や社会の深淵が見えてくるからこそ読み継がれる名作なのだろう。そして人間や社会に深い問題意識を持つ作者だからこそ書けたのだろう。
それこそ文学なのだ!というのであれば、今文学はどこにあるのだろう??
今も昔も全体ではうまく行っているように見える社会にもレ・ミゼラブルが逃げ場もなく苦しんでいる。そしてそれは彼らの責任ではなく、虐げる方のレ・ミゼラブルの責任だけど、彼らは自らの人生に満足しているだけなのだ。

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On 9月 11, 2023
by hase
in BLOG, みるーよむーかんがえる

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