長谷守保 建築計画

ヒルサイドテラス+ウエストの世界


槇文彦さんが、過去30年かけて、本当の意味での良い地主と出会い、ゆっくりとつくり続けてきた、代官山のヒルサイドテラスの記録です。
槇さんの序文がとても良く物語っていますが、それぞれの建築については特に革新的なものではないけれど、独特な雰囲気を持った「社会的資産」として認知されつつあるのではないかと。そしてその社会的資産を形成するためには「安定した且つ親しみのある空間の提供」が必要条件だと書かれていて、そこは何気なく聞こえてしまうけれど、とてもとても大切な部分だと思います。
モダニズム(イズムですね)と言ってしまうと教条主義的な面がありますが、そうでなくてモダンという美意識の部分をとてもきちんと続けて来られているのは日本では槇さんくらいだと思いますが、裏を返すと既に見慣れてしまった感じがして目新しい感じがないのでメディア映えしない面がありますが、もっともっと評価されるべき方だと思います(不j謹慎な言い方ですが亡くなられたら間違いなく再評価されるでしょうね)。
そういう私も、ヒルサイドテラスを訪れたり、他の槇さんの建築に接しても、正直少し物足りなさを感じたりもしましたが、上記の「安定した、且つ親しみのある」という事がとても大切だと思い返せば、それ以上の刺激を建築に求める事は社会的資産になり得なくなる事だと思い知らされます。
「空間の奥性」や空間の「襞(ひだ)」といった事をずっと考えて来られていて、それがヒルサイドテラスの共用空間の魅力を生み出してきたと思いますが、今の建築家で、建築単体ではなく、建築と建築の間、そして都市につながるようなきちんとした理論をもって建築に向かっている人というのはそうそう居ないんじゃないかと思いますし、それはとてもまずい事じゃないかと思います。
でもその理由の一つは、このヒルサイドテラスのように、長い時間の中で、小さくてもひとつのまとまった環境をつくる事が、建築家にはなかなかさせてもらえないからだとも言えます。
僕はまだ30年くらいは頑張れそうなので、良い地主さんよろしくお願いします!なんて(^o^)

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On 2月 8, 2009
by hase
in けんちくーよむ

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