長谷守保 建築計画

ニューミュージアム by SANAA



新建築2008年1月号の表紙からです。
ニューヨークにできた現代美術館です。
以前から模型や工事中のものは目にしてましたが、改めて完成したものを見ると、『すごい!』
金沢21世紀美術館など、大きなプロジェクトが結構完成しつつある、妹島さんと西沢さんですし、いつも新しさを感じさせてくれますが、特にこれは見た事もない感じでは一番かもしれません。
と素人みたいな事を書いても仕方ないので、分析的に考えて。。
SANAAの建築は、もともと、ある大きなボリュームとしての外観をつくることを意図的に避け、プランとして、いかに内部と外部を自然につくってゆくか、そしてそのプランを立ち上げ相応しい外皮をつくって建築になってゆく、という感じで、とくに広い敷地に平屋に近く建てることが多かったこともあり、敷地の中にばらまかれたような、もしくは投げ出されたようなプランだったように思います。
一方で、このニューミュージアムは、立地上、積み重ねるしかなく、でも、基本的な発想は上記とそんなに変わらず、平面的にばらまくものを、積み木のように積んだ、という感じのようです。
その「ばらまく」と「積む」とういことの違いがとても違った視覚的な結果を産んでいて、今まで他になかったような表現となったように思います。
ただもちろん、同じ発想で無造作に積み上げれば、同じような建築になるわけはなく、やはり無造作なようでも、プロポーションや素材、ディテールも、散々検討して、一つだけ生き残ったアイディアが実現した結果として、すばらしい建築になっています。
同じ号で青木淳さんがSANAAを評した言葉に本質があると思いました.
『目の前にあるものを見て、僕たちはどうしたって、それにしっかりとした存在感を感じる。だからそれを僕たちは「現実」と呼ぶ。逆に言えば現実とは「実際そこにあるもの」ではなく、「実際にそこにあるように信じられるもの」である。本当に存在しているかどうかよりも、そう感じられるかどうかである。その意味では「現実」とは幻想である。
でも、僕たちは幻想であるそうした「現実」に縛られる。既成のモノの見方に、既成の価値観に縛られる。そして息苦しくなる。そういう中で、アートは、僕たちに「現実はそれほど堅固なものではないですよ、ほら、それはこんな世界でもあり得るではないですか」と風をとおしてくれる。。。
少し長かったですが、SANAAの建築というのはそうなんだと思います。
現実なんて幻想です。幻想なんだから、もっと自由な可能性を求めたいものです。

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On 12月 29, 2007
by hase
in けんちくーよむ

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