長谷守保 建築計画

エジプト



NHKスペシャルのDVDを借りてみました。
だいたい僕の学生時代は、特に地理や歴史とか、学校では単なる記憶対象としか扱われないようなものは嫌いで、エジプト文明の歴史なんかももちろんあったわけですが、決して興味の対象ではありませんでした。
物理とかのように、何か本質的なところをつかめばあとは応用で解決できるようなものが好きで得意だったですね。
でも、建築をやっていて思うのは、今の建物なんてのは、「今の社会」という枠内で、今までの歴史を無批判にひきずりながら、今の偏見に惑わされながらできてしまっていて、建築の本質的なものなど単純に現さないのに対して、ピラミッドみたいな、原初の中で人類が何かをつくろうとしたところに建築の本質が見えるだろうと思います。
そんな意味で興味深く、見ておもしろかったです。
ピラミッドは奴隷によってつくられたなんていうのは歴史家たちの思い込みであって、最近は、ナイル川が氾濫して農作業ができない時期に公共事業としてつくることで社会よより良く治めていたという説が強いことは知ってはいましたが、その事を様々な角度で伝えてくれて、なるほど、という感じでした。
素直に、あのピラミッドとか、様々な構築物の精巧さや生き生きとした姿を見れば、嫌々つくったなんて訳がなく、その仕事に意味を感じてつくったに違いないと感じるべきですよね。
僕が思うのは、建築というのは、人間の不安な気持ち、明日生きていられるだろうか、そして死んだらどうなるのだろうか、というような気持ちを少しでも支えるために生まれ存在していて、それは今でも本質的に変わらないのだと思います。
今の社会は、「死」というものを生活から遠ざけ、隠蔽することで、私たち人間が本質的なことで思い悩むことをさせないことによって、そして貨幣というものに盲目的な価値観を感じさせることで成り立っていると思いますが、そんな中で生まれる建築には、建築の本質たる、死への不安が感じられる訳もないですが、それではいけないなあと思います。
人間の存在は、「死」と向かい合うことによって意味をもちます。
そしてその不安定な人間存在は、建築をつくり、住まいをつくることで、心のよりどころを得ます。
大学の卒論で、ハイデガーなどを読んで学んだことですが、その事が僕の中でとても大きな骨となっています。
若いうちに沢山本を読みましょう!ね。

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On 9月 9, 2008
by hase
in けんちくーかんがえる

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