こころ

  • 2011.08.31
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僕は決して文学青年ではありませんでしたが、漱石はそれなりに読んだことがあり、特にこの「こころ」は中学生の読書感想文で初めて読んでから多分高校か大学でも読み返したのですが、また改めて読んでみました。いやしかし、すごい本だと改めて感じました。
ご存知の通りだと思うので内容に触れたり、文学的にどうこうなんて書いたりはしません。
でも良く言われるように、読み返すごとに、読者が歳を重ねるごとに新たな感じ方をして新たな事を考えさせられるものですね。そしてやっぱりそこが名作と言われる所以なのでしょうね。
でもどうしてなのか?読みなおすたびに新鮮なのか。
きっと、自然に触れるのと同じなのかもしれません。
子供なりに、大人なりに、年配なりに、自然に対してさまざまな事を感じ、そしてまた、決して飽きる事も無い。森羅万象と言われるような深さがそこにあり、でも目の前には分かり易く美しい花が咲いていたりもする。そんな所が本質的に共通しているのかなと改めて感じました。
内容について1点だけ、中学生で読んだ時から、Kの言った「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」という言葉が頭を離れず、たまに思い返したり口にしたりしてもう20年以上も生きて来ているので,多分僕の人格形成上それなりの役割を果たしているのだろうと思います。でも今読み返すと、その頃と随分自分の捉え方が変わっているように感じます。
当初は何となく自分も含めてですが他者に向けられた言葉のようにも感じていたように思いますが,この言葉は決してそうではなく、Kの内面、自らにのみ向けた言葉なのだと改めて感じました。そしてだからこそ命を絶ったのだと。
僕自身も、ついついその言葉を他人にも向けてしまって来たのですが、各々が自ら気づき課して行くべき言葉なのかなと改めて考えさせられました。
まあでも、これからも思った事は言ってしまうと思います。