Sm、Kj邸一年点検

  • 2007.12.14
  • BLOG



今日、一年点検にいってきました。
竣工引渡し後は、少しご無沙汰してしまう事もあるのですが、やはり、1年、四季を住んで頂いて、大きなことから細かなことまで、不都合も良いところも含め、私が今後よりよい住まいをつくってゆくためにもお聞きしたいのもあり、施工して頂いた方と一緒に伺うことにしています。
Sm邸は、設計中にはどうしても分からなかったのですが、工事中に、南隣地に3階建ての賃貸マンションが立ち上がってしまい、日照があまり良くなくなり、大変残念でしたが、とても気に入って住んで頂いていて、嬉しく思いました。
その数年前に設計させて頂いたO邸がご縁で(というか身内の方で)設計させて頂いたこともあり、とても設計者冥利につきる気持ちでいっぱいです。
Kj邸ですが、おおらかにすっきりと設計させて頂きました。
施主さんのお勤めの会社で施工して頂いたこともありまして、とても良い信頼関係の中で工事が進み、結果も良い形で続いています。そういうのがやっぱり細かな仕上りに出るものです。
当たり前の話なんですが、ひと世代以上住んで頂く住宅を設計させて頂くということは、その期間は良いかたちで住んで頂き、また、その前を通る人々に対しても責任を持つわけです。
ですから、設計中は当たり前ですが、竣工後がわれわれ設計者にとっては、その価値を決めるわけです。一方では、メディアベースのものは、なにしろ目新しさ、写真映えの良さを大切にしますが、それが本当に竣工後の良さを保証するかと言えば『NO!』です。でも、やはりメディアに左右されてしまうのが人間です(だからメディアがのさばる)。
施主側がそれに惑わされるから、設計者側もそれに乗ってしまう面があります。
だから、本当に良いのは、住む側に見分ける『目』が育つことです。
少し前にミシュランの☆いくつとか、話題になってましたが、そして、少し前に仕事でそんな話題がありましたが、☆の数と本当に美味しいかはかなり???だそうです。
食べるものとか服なら、ブランド性とか、流行も大切ですが、住宅にはそれは必要ないと思いますよね。でもそれに流されないためには『目』が大切ですね。
でも、それは、できたての住宅を見ても分からないと思います。
やっぱりしばらく住んでから。1年でもいいですが、もっともっと長く、数十年経ってそれでも良いな、と思える空間というのは、多分、特別訓練されてなくても感じられるはずです。古いお寺などを見れば、やっぱり心が動くものですが、自分の住宅とは無関係だと普通は思ってしまうと思います。でも、確かに同じものをつくるのはすごくお金がかかりますが、普通の住宅の予算でも、同じ感性でつくる事はできると思いますし、同じように、心が感じられる空間をつくる事はできると思っています。
たまの贅沢も必要ですが、それ以上に毎日帰る住宅を、もっともっと帰りたくなる空間にできればいいと思いますし、それができるためにも、自分が設計した住宅の『その後』をとても大切にしてゆきたいと思っています。