集落の教え100

  • 2010.07.15
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原さんの「集落への旅」という本は読んでいたのですが、これは出版十数年経って読みました。まあ流行の建築論ではないからきっとこの先いつ読んでも変わらない価値があるような本です。
世界の様々な集落調査から学んだ事を記した本ですが、集落というものには、永い時間をかけてそこに住む人びとが集団的な無意識としてつくりあげて来た何ものかが存在します。
それは近代現代的に考える合理的なものでは決してなくても、そこに住む人びとに必要不可欠な何かが隠れているようです。
社会人類学者のレヴィ=ストロースが未開の民族の中に見つけた、近代合理社会に決して劣る事のない成熟した文化が、自分たちが世界の中心だと思っていた西欧文化を揺さぶったように、集落から学ぶ事というのは、近代建築というものを揺さぶりもしました。
ただもちろん、そんな集落のエッセンスというのは日本の中にも存在し、今は消えつつあっても、様々な形で垣間みる事はできます。
神聖に思う事、理屈ではなく良いと思えるもの、不思議に何か訴えかけてくるもの。。そんな感性は昔に比べると随分すり減ってしまったようですが、とても大切なんだと思います。
この本は多分持っていて損はないですよ。
買って損したなら僕が買い上げます(笑)
世界遺産にするのは良いけれど、その価値も分からん観光客で埋め尽くされてしまい、いつの間にかその価値を減じてしまうのを見ると、世界遺産なんて逆に本質としての遺産を破壊しているんじゃなかろうかと思ったりもします。