竣工写真-Ty

  • 2018.02.05
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無事竣工しました。代々お住いの土地で、既存の立派な庭や倉という歴史に向かい合いながら次の世代へとしっかりと渡すことができるような質の住まいを目指しましたが、白紙のような更地に作ることを考えると、随分いろいろと手間もかかりましたが、それだけの価値はあったなあと感じています。

地域性もあり、瓦屋根として、道路からは落ち着いた雰囲気としています。

アプローチを回ってくると、屋根が跳ね上がって、かなり違った印象になります。2階の寝室などにも南面の日当たりを確保しながら、瓦屋根をどうかけようか、随分悩みました。

一番高いところにロフトと窓があり、実はそこから浜名湖が見えるようにしたかったのもあり実はこの屋根の形にしたのでもあります。
また手前の土地もお持ちの部分なのでこちらにもっと寄せたり延ばしたり、ということもできたのですが、既存の庭とアプローチの関係で、この配置に落ち着きましたがプランでも施主さんと随分悩んだ結果でした。

「住む」というのはその土地に落ち着く事で、だから本当はこうやって代々その土地に落ち着いて、また次の世代に引き継ぐ事で、よりその落ち着きも増すと思うので、そういう意味で理想的だなあと思いました。
人間の心の安定は、周囲にずっと変わらない何かがあって、自分が自分であると思わせてくれる事だと思うので、「記憶」というものは住まうことに本質的に不可欠なものなのです。
大変でしたが大変良い経験をさせていただきました。

LDKの奥に和室があり、それぞれの方向に窓と、2階に屋根下の空間が繋がってゆくので、いろんな方向に視線が伸ばせて気持ち良いです。

南の窓の向かいに既存のお庭と倉があり、時の重さを感じさせますが、多分安っぽい作りだと負けてしまうのですが、決して負けてはいないと思うのは、やはり素材とデザインの力なのだと思います。

2階は寝室と子供室が自由に間仕切ることができ、共用のテーブルの下に沢山の本棚もありますが、ここで読書やお勉強をするのも気持ち良さそうです。

と、なかなかおおらかな空間の作りになったと思いますが、代々住まれて来られた広く恵まれた環境、という前提の特殊例でもありますが、せっかくなのでそれを最大限活かしたかった結果でもあります。