浜松ウッドコレクション/フォローアップセミナーへ。

  • 2017.11.22
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昨日、せっかく受賞もさせていただいたので行ってきました。新しい知識を仕入れれば役に立つ、なんて全く思っていないので、近年は全く出てませんでしたが、自分の視点をしっかり持って入れば面白いものです。また記載されている通り、入賞作品は広く情報発信していただけるそうなので楽しみですw

まず、寒竹先生は、私が顔を出してしまったこともあり少しお話しづらくなってしまったかと思いますが、私が「モダン」の美意識で取り組んだことを評価して頂けたのをとても嬉しく思いました。審査員評として、玄関というかアプローチがわかりにくく、それは住宅にとって大切な部分であるのでは、というコメントを頂きましたが、このT邸はかなり特殊例で、リビングを土間で使いたいとのことで、いわゆる「玄関」というものがなくても、というかない方が、リビング空間から庭や向かいの景色が最大限に感じられる、ということで、結果的にはそうなっています。あと水回りを隠す塀がコンクリートであるのがどうか、という点について、木造の軒と袖壁で作られるシンプルなフレームのラインに対し、塀はできるだけ線の数が少ない、シームレスなものとした方がよりそのラインが生きると感じたから、つまり木などで作ると線の数が増え、僕らの業界の言葉で言うと「うるさい」からです。とここで書かなくてもよかったことですが。

今回、応募するときから、そして受賞させていただいて、引っかかっていた事ですが、行政がこのような事業を(税金をかけて)行う、ということは、やはり多くの事業者さんや消費者が、「面的」な広がりを持ってゆく必要があると思うのに対し、私や受賞者の多くは、小さな会社で、それぞれに材やデザインを「点的」にやっているので、そこをどのように進められるのだろうか?ということです。そして赤池さんのお話は全くもって「面的」なお話で、ハウスメーカーがオプション的に緑などを上手に足すことで営業を伸ばした、みたいな僕の嫌いな話で、渡さんのお話は「点的」と言って良いかわからないけれど、近代的な、効率性の追求で失われた個別のキャラクターを取り戻す試みのお話で、僕はとても面白く聞きました。と両極端な内容で、上記の「引っかかっていた」ところがそのまま出てきた感じだったので、市の方や参加者もこれをどう受け止めてゆくのだろう??と思いました。

通底していたのが、近代以降の個人主義と、効率主義によって、日本がもともと持っていた豊かさや、個々の幸せ(今のような個性を持って夢を叶えるとかいうのと真反対な素朴な幸せ)が失われてしまったものを取り戻さなければという動きと、でも経済は結局それを押し返す、みたいなことかなと思いましたし、食の世界で言えば、本当に美味しいものは自然だけが生み出せる、ということを私たちは知っているのと同様に、本当に楽しいもの、美しいものは自然、というか人工的なものでないものからしか生まれない、ということを理解できれば、現在の個性主義な「デザイン」は楽しさも美しさも生み出し得ない、と分かるはずです。

本当に楽しいって、本当に美しいって、本当に大切って、何だろう?というところから全てを始めるべきだと思いますし、そこから自ずから見えてくると信じています。