新建築8月

  • 2017.08.04
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studio velocityさんの「美浜町営住宅河和団地」。お二人はしばらく石上純也さんのところにいたようですね。

それだからか、「抽象化」されるのがお上手なのか、これも杉の下見張で建物の内外を包んでいるけど、微妙に白く着色したり、開口部を屋根いっぱいまでにすることで壁がすっきり見えるようにしていたりで、つまりは普通だともっと野暮ったくなりそうなところを上手に木の独特のクセを抑制していて、上手だなと思いました。

そういえば先日「木造臭くない木造」と書いたところ、設計中の施主さんから、私を選ばれた理由がその言葉で合点が行かれたそうですが、上記のこともそれと繋がっていると思いますが、つまり木造でしっかり木が使われているけれど、木であることを主張し出しゃばり過ぎない、ということかなあ〜でももちろん木の優しさはしっかりと感じられないと行けないし、人間、というより動物って多分、見た目で、硬さや重さなど感じる能力があって、これは自分がいる場所に相応しいかどうかを無意識的に感じているのではないかと思うし、それが「心地よい」という感覚につながるように思うし、この作品のように天井も壁も同じような素材で優しく包まれた感じは胎内的というか、でもきちんと視線が抜ける、というのは以前藤森さんが書いていたことに合点が行ったけど、洞窟のようにきちんと守られつつも敵や餌が来てもすぐ見渡せるような場所が動物には心地よい、というのは動物的本能として当然のことなのだろうと思う。でもじゃあ右下のようなコンクリートに守られつつ大きな開口を持ったものも、じゃあ良いじゃないか?となるけれど、こういう金属パネルや細い鉄骨柱と組み合わされたようなものに、コンクリートはなりたいと思っていないんじゃないか?と思うし、そういう意味ではやはり安藤さんや高橋堅さんの作るコンクリート建築は、僕は良いと思う。つまり結局、作為性が感じられないくらいまで、素材と向き合うことが大切なのかもしれません。
まだまだ精進しなければ、と思うけれど、やらないと行けないことの方向性は自分なりには固まって来ているように思うので、あとは地道に登り続けるだけ、かな