新建築12月

  • 2017.12.11
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平田晃久さんのTree-ness House。同い年のようだけど、次の時代を担う建築家の一人なんだろな。作られてるものに共感はできないけど。

その名のごとく、ですが「ボックス、ひだ状の窓、植栽を階層的に組み合わせて、一本の樹木が空中に現出させる領域のように、内外の境界があいまいな、人のためのやどりしろのようなものをつくろうとした」とのこと。

この白い部分が9ミリの鉄板を溶接して、コンクリートを流して作った「ひだ」のユニットだそうだけど、9ミリかあ〜。すげーな〜。

100キロ以上の高速で走ることを前提とするから自動車は強い鉄の塊でなければならず、さらにエアバッグや自動走行機能なんか追求されているけど、個々人がそんな鉄の塊で100キロ以上で自由に走る必要があったのか?自動車産業振興のために道路を作りまくった結果だから当たり前のように感じる現状だけど、そうでない選択肢はあったはず、何が言いたいかというと、東京のような大都市に住む、という前提がこのような設計を必要としているけど、その前提がなかったら、「こんなことまでしなくて良いのに」という代物ではないか?と感じてしまう。

そういう視点で、右上の、堀部さんがやった、瀬戸内の魅力を伝えるための客船を、堀部さんらしい居心地の良さで実現させたガンツウ、というのは、客船とはこういうものだという前提を良い意味で覆しているように思う。

強者の視点は、自分が強くいられる環境を助長こそすれ壊すはずもなく、より殺伐とした環境になるが、弱者の視点に寄り添ってみれば、素直で無駄もなく、気持ちの良い環境とは何かが見えてくるのではないかと思う。

平田さんの師の伊東さんも歳をとってから、弱者への転向のようなことを言い始めたように思うけど、自分が弱くなってきたからそうなるなんていうのは都合が良すぎるんじゃないですか?とも思う。

弱い強いは建築の表現とスタンスは別問題で、隈さんは表現として弱さを言っていてもスタンスは「最強」であり、安藤さんは表現は強くても、昔からスタンスは弱者に寄り添ってきたようにも思うし、坂さんは間違いなくそうだろう。つまり人間への愛というか優しさを持って設計をしているかどうか。そこをこそ、建築家を評価する最大の物差しとして見てくれたら良いのになあと思う。

あと杉本博司さんたちが作った「江ノ浦測候所」なる、とんでもないものも載っていたが、本当はこれこそ、The建築なんだろう。逆にいうとビジネスとしての設計ではこんなものは作れないんだよね。。