新建築6月

  • 2010.05.31
  • BLOG


故黒川紀章さんのスケッチやコンセプトを元に設計されたという壱岐市立一支国博物館だそうです。
表紙の写真はきれいに見えますが、でも決して建築的には評価すべきものではないです。やはり、良い建築には強い「意志」が備わっているものですが、故人のスケッチを立ち上げたような建築は優れるはずもないのは宿命だと思いますし、どんな優れた建築家でも、その建築への意志の弱まりと共に建築の質は落ちざるを得ないものだと思います。
でも一人で設計をするのでない限り、スタッフの力をいかに自らの意志の助力にさせるかというのが、またとても難しいところですが、やはり良い建築を残した方々は結果的にはそれをやってきている訳です。
今日ひとりスタッフが巣立ち、新たなスタッフが増えるのですが、一緒に建築をやることで、いかに大きな力にできるかという事を常に目指してはいるつもりの中で、なかなか思うようにいかないと悩む事が多いです。で、何故だろうと考えると、やっぱり何事でもそうだと思いますが「共感」というものがない限り、人間ってそんなにある方向を向いて走り続けられないんだなって思います。
僕自身がまずはある共感を元に自分が目指す建築をみつけなければならないし、そしてスタッフもそれに共感をしていなければ、やっぱりいつか疲れてしまうかなあと。
そんな意味では、どうも(学生のときからずっとですが)建築雑誌を見ていても決して共感できない自分がいます。そして、共感できないとやっぱり本気で頑張れない性格だったけど、今は自分なりに共感できるものを見つける事ができたからなんとか前向きに建築に向かい合っているのだけど、それはそう簡単には他人には共有出来る訳もないのでしょうね。
でも共有出来る時、それは本当に楽しく、とても良い結果を生むという事は実感してきましたし、贅沢な話だけど、そんな経験をしてきているので、共有できないと悩んでしまいます。
また愚痴みたいで済みません。
いやいや、でもまずはもっと僕も色々な経験をして本を読んで、考えて、もっと何かを伝えられるような人間にならなければいけないなあと、改めて思います。