建築少年たちの夢

  • 2011.08.16
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是非読んで欲しい本です。
タイトルからお察しの通り、それぞれの建築家が夢をそれぞれに夢を抱き、様々にかたちにしてゆく姿が描かれているのだけど「少年」という言葉のとおり、その夢というのは素朴であったり、若い時の強烈な経験による原風景のようなものだったり、だからこそ強く追い続けられるものですね。
描かれる建築家の中で今をときめく方は分かるとして、石山修武、渡辺豊和、象設計集団が入っていて、若い世代には馴染みは薄いかもしれないけれど、だから逆に読んでみると見つかる事も多いと思います。
もちろんそれぞれ建築家の読み物としても面白いのだけど、布野さんはそれだけを意図しているわけがなく、とりあげる順番などを通して全体として大きなメッセージを伝えようとしているように思いました。
最初は安藤さんですが、他ではほとんどしていないけれど攻撃をしていて、言説が短絡的で作品との間に必然性が無いところはまあ建築をやってる方なら分かると思いますが、でもその短絡的なところが社会には分かりやすいらしく、今じゃすっかり。。。と攻撃したくもなりますよね。
そして、それぞれの建築家の苦悩を曲折など描きながら、最後に磯崎のデミウルゴスを登場させてから、あとがき的に、白井晟一から学んだ事として「実に単純明快、経験する事、考える事、そうした上で建てる事、ではないかと思い至った」と結んでいます。
夢なんて追いかけなければ夢じゃないけれど、でもいくら追いかけても捉える事ができないのも夢。
そして空想ではなく、自らの体でかけずり回って追いかけて来たからこそ若者にまた夢を与えられるような建築家になって来たのだし、この本を読むと自分の夢をもっと膨らませて追い続けてゆく力をもらえると思います。