コールハース

  • 2009.02.13
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先日中国のCCTV火災の報道には本当に驚きましたが、そのうち真相もある程度(中国の事だから良くわからないけど)明らかになるにせよ、あんな燃え方をするというのはちょっと理解しがたくてある意味911よりびっくりしました。
その建築家でもあるコールハースのDVD、A kind of Architectureを買ってあったので観ました。
コルビュジェ以降でもっとも建築界にインパクトを与えた建築家だろうと思いますが、コールハースの仕事ぶりが「編集長のようだ」と喩えられたところにもその理由の一端が現れていると思いますが、とにかく情報を集め、分析し、構成するというような、即物的な建築のつくり方を徹底するというやりかた、裏を返すと何らかの「手法」に基づかずに建築を組み立てるというやりかたはコールハースが初めてだと言っても良いかと思います(違うぞ!という方が居たら教えてください)。
それは、最初から建築に染まらずに、若い時に映画製作をしたりライターだったりしたという経歴や、生まれ育ちが大きい影響を与えたようですが、やはり不断の努力がそうさせたんでしょうし、ビジネスとしては危機的な時期もあったようです。
また、とても鳥瞰的な、大きな眼で建築を、そして世界をみてきたからでもあり、コールハースらしさというのは、やはりビッグプロジェクトで発揮されるように思いますが、今までの建築の世界というのは、もっとシンプルな用途や、だいたい把握できてしまうような大きくない建築を前提としてつくられてきていた面が強い中で、現代というのはそうではなく、複雑な怪物のようなビルを生み出してきていて、実は「建築家」ではなく、組織設計事務所のようなところがそれらのビル設計を担っているのが現実だったりもします。
そんな中で、そんな怪物のようなビルを分析し、構成する手法を磨いてきたコールハースが設計したCCTVというプロジェクトはとても興味深いものでした。
だた、一方では、住宅のような建築に対してもすべてそんなスタンスで臨むべきだとは思わないですし、全てを理性的に扱うべきではないと思うので、一方ではとても興味をもち、理解もしつつ、自分の仕事との距離感は自覚的に取っているつもりです。
でもどちらにしても、建築というのは、どこにどんなルールを置くかの違いだと思いますし、そのルールというのが、誰が使うかも分からない大きなビルと、顔の見える地域や人びとのためのこじんまりした空間をつくるためには、必然的に違ってくるのが自然な事だと思います。
でも、設計をやっているなら観てください(そうでない方には決しておすすめはしませんが)。