アドルフの画集

  • 2008.05.15
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かのアドルフ・ヒトラーの青年期の物語。
架空の設定だそうだが、ヒトラーが画家志望だったり建築が好きだったことは有名です。
第一次世界大戦の敗戦で全てを失ったヒトラーが、裕福な画商マックスに出会い、マックスはヒトラーの内に秘める何かを感じ、絵画に専念するようにすすめるが、陸軍将校の誘いに乗って、過激な反ユダヤ的発言や演説をするようになり、ユダヤ人マックスが何者かに襲われ、そこで映画は終わります。
ヒトラーの未来へのビジョンや人々を煽動する能力の片鱗を描き、その後の実際のヒトラーの人生を暗示しつつも、決して非難めいて描く訳でも、逆ももちろん賛美する訳でもなく、単に、画家をめざしつつ、政治の世界に足を踏み入れてゆく、という人生の岐路を描き、あれほど大きな影響を与えてしまったヒトラーという存在が、本人の意志とは違った、そのときの時代背景、環境、人間環境などによって、必然的に生まれてしまったことを描いています。
人間は自分で判断し選んでいるようで、実は、生まれ育った環境によって培われた無意識によってつき動かされているだけとも言えますし、人生選んで生きているようで、実はどんな人生も定められたかのように、本人の意志とは関係なく進むものなんでしょう。
ですから、いくら悲惨だったからと言って、ヒトラーを責めても何も始まらず、誤解を恐れずに言うと、ヒトラーも時代の被害者だったと言えると思いますし、ヒトラーが居なければ、第2のヒトラーが生まれただけでしょうし、ヒトラーを生んだ時代を変えなければいけなかったということです。
顔に出来たニキビのひとつひとつを消してもしょうがなく、やはり体質を変えなければ根本から治らないのですよね〜と、失礼しました。