ついでに鳥取へ

  • 2013.03.23
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大分通いも終わりに近いですが、今回は鳥取へ。
まずは何とか夜中に米子にたどり着き。

菊竹さん設計の東光園/1964に泊りました。増築されていて客室は面影はないと思うのですが外観やフロント辺りは当初のまま(痛みも結構ありましたが)で強い構築性がとても迫力がありましたし建築的には名作と言われる通りだと思う一方、単価の安い温泉宿扱いになってしまっている現状を見ると、保存問題でいつも感じる、建築の専門家と一般人の価値観の乖離を思わずにはいられませんでした。
翌朝同じく菊竹さんの米子公会堂/1958に行きましたが改修工事中で、解体か保存かで揺れていて保存と決まったって読んだ?なあと。でも築55年で保存と決まったというのは日本ではなかなか無い事だしそれも建築に込められた設計者の意志があってこそだろうなと思います。
次は高松伸びさん設計の植田正治写真美術館/1995ですが、展示室をつなぐ場所から近くの美しい大山をこのように切り取るという構成(このスリットが3つある櫛形の平面)はとても単純だけど良く考えられた、そして良い建築だと思いましたが、何しろアクセスが悪くタクシーの運転手とも話したのですが客も少なく財政負担も大きいようで、はがれかけた舗装が放置されていたりと悲しく思いました。やはり芸術家などの個人美術館というのは「記念」でつくられるので採算が軽視されているので全国各地にもこんな寂れかけた美術館があるなあと、でも考え直さないといけないなあと思います。
松江に移りまた高松さんのくにびきメッセ/1993ですが、思いのほか良かったですw.。先ほどの美術館もですが、かつてのバブルの象徴のような高松作品は嫌いででしたが、ここもかなり大きな施設なので抑えるべきところは抑えなければいけないので、表現も適度に抑えられ、それがちょうど良かったし、さすがにデザインやディテールは上手だなと思いました。

松江城にも行き、周辺の環境も含め、僕は城というなんだか攻撃的な建物は好きではなかったのですが、ここはとても優しく、この写真のように裏には古い街並やぐるりとお堀があり観光用の船がぐるぐる回っていたりと、お城では始めて良いなと思いました。熊本も良かったけれどちょっとオーバースケールだったかな。
ほど近くにある菊竹さんの田部美術館/1979。コルテン鋼の屋根がなんだか茅葺きのような素朴な印象で(それを狙ったのかは??)その大屋根の下に立体的に展示室が配置されている、まあ大人しいけれど良い建築でした。屋根の可能性もまだいろいろあるなあと。。

最後は出雲大社です。まあ場所柄若い女性が多かった中に中年男が1人でw。
大社のほうはさておき、菊竹さんの出雲大社庁の舎/1963名作と評されてきたので今回の一番の目的だったりしましたが、実物は思ったより装飾性が強い(妻面だけですが)のと、コンクリートルーバーも随分薄汚れてきてはいても、この恐ろしく歴史的に重たい建築群の中できちんと建ち続けているという、それもコンクリートの近代建築で、というのは、菊竹さんや丹下さんくらいしかできないんじゃないかなと思いましたし、それは構築的な強さであり、象徴性であり、そして一番大切なのはやはりある強い美意識に基づいてつくられたかどうか?なのではないかと思いましたし、それこそ建築に最も大切で、でも現代建築に失われてしまっているものじゃないかな?と思いました。
と、1日かけずって帰途につきましたが、他にもいくつか見ましたが菊竹、高松作品ばかりですね。