盲獣/DVD

  • 2008.06.19
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江戸川乱歩原作、増村保造監督。1969年
見方はいろいろあると思うし、グロテスクというか、エロティックというか、アンリアルな設定ではあるけど、その中に本質的なものを感じました。
盲人で、母と二人で、社会から隔絶して生きてきた男が、視覚以外の感覚の中で「触覚」に以上に思いをもち、人体の彫刻を、触覚をもとに作り続けていた。そして、美しいモデルの女性に思いを募らせ、誘拐し、自らのアトリエに閉じ込め、彫刻のモデルを強いていた中で、二人に愛情のようなものが芽生え、二人は触覚だけを求めて、お互いを求め合う。
そして、触覚という刺激はエスカレートするしかなく、そのうちお互いを痛めつけあい、切り付け合い、最期は二人とも刃物でお互いを切り、死んでしまう、というなかなかすごいストーリーでした。
まあいろいろな面で面白い映画ですが、僕が面白いと思うのは、人間の五感の中で、確かに人間は「視覚」に頼り過ぎているのは間違いなく、そのかわりに、他の4感や、第六感的なものをどんどん弱めてしまっていますよね。
触覚だけにのめり込んだ結果がこのようであれば、今の人間のように、視覚ばかりに頼っていると、そのうちどんな恐ろしい事が待っているのだろう??なんてテーマが裏に隠れているというのは僕の考え過ぎだろうか??
それ以外の感覚も大切にしましょう!
いい音や、いい匂いや、いい味に感動し、そして、五感だけではない、全身をもって感じるような感性を失わないことが、より豊かに生きるために必要なのは、誰も疑わないことでしょうから。