樂吉左衞門館/新日曜美術館

  • 2008.02.24
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佐川急便の佐川美術館が、創業50周年事業として、千家十職茶碗師、十五代樂吉左衞門に総合プロデュースを依頼してつくった建築です。
少し前に新建築でも紹介されていましたが、今日テレビでやっていたので見てみました。
自身のつくる茶碗に応える空間、茶室をつくりたかったとの事で、プランや材料など含めて、現場段階でも3年くらいかけて、サンプルや原寸の模型(なんと大胆な)などで散々検討して実現したとのことです。
竹中工務店が設計施工でサポートしたからもちろん実現したわけで、正直、設計をやっている身からすると、確かに発想やこだわり方はプロでとは違った意味で面白さもあり、出来た空間も見るに値するものだと思いましたし、昔の茶室建築の頃は、千利休など、建築の専門家などがいなかった時代につくられていたわけで、同じ発想でいうとこういうのもありかとも思えたりもしますが、やっぱり、日本の木造建築という歴史の蓄積の中で、3年なんていうのは比較にならない位短い時間の中でつくられた空間というのは、本当の茶室建築の密度と比べることなどは出来ない程度のものだと思います。
実際に、概ねの空間構成は面白かったですが、床の間など、細かなところは、少し大味過ぎて、まだまだ消化されていないように見えました。
もちろん、私自身がつくっている建築も、まだまだだなあ、と本当に本心から謙虚に思います。
当然、有名な茶室のような空間を目指そうにも、予算がいくらあっても大変ですが、でも、空間のエッセンスを感じ、現実的な予算の中でも目指すことは十分可能だと思いますが、でもやっぱりそれには、歴史の蓄積を謙虚に学び、吸収し、咀嚼し、時間をかけて生み出す必要があると思います。
そんな思いで少し良い建築に身を置いてきましたが、、また改めて。