日本建築

  • 2009.08.20
  • BLOG


昭和13年初版から木造建築の世界では有名なロングセラーで、前に勉強させて頂いた事務所にももちろん置いてありましたが、現代の工法などにも合わせて新訂されたので、買ってみました。
ひととおりざっと読みながら感じたのは、現代に合わせているのはいいですし、現代の大多数の木造住宅がそうであるからやむを得ないのですが、「建材」をそれなりに取り上げて「しまって」いる悲しさです。
もちろん伝統的な木造の良さを多く引き続き載せているので、実務者としてはとても勉強になる本だとは思いますが、その伝統的な部分と、現代の軽薄な部分がとても対比的なので、現代の軽薄さがより鮮明に感じられる本です。それはそれで興味深かったですけれどね。
僕もたまに書いているように、歳をとるにつれ、設計させて頂き、完成してくる数が増えてくるにつれて、日本建築の深さに惹かれ、興味を深く持つようになってきました。もちろん、懐古的なデザインや民家風のデザインは決して好きではないので、そことは一線を画しているつもりですが。。
そしてそんな好みは、いろいろな人や、いろいろな建物、そしていろいろな経験との出会いから深まってきたものであり、僕を育ててくれたものとして、とてもとても感謝しています。
だからこそ、僕も常に、出会った方たちには多少なりとも良い何かを伝えられるように心がけているつもりですし、それが、こうやって本を読みたいと思わせる動機となっているのかも知れません。
そして、日本建築を含めた、良い伝統とかは、みんな、いろいろな意味での「感謝」の心から出来てきたもののように思いますし、それを大切に思ってゆくことがとても大切だと思いました。