新建築10月

  • 2008.10.06
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渡辺明さんの「千本松沼津倶楽部」が表紙でした。
100年の歴史のある茶亭を再生するためのプロジェクトだったようで、浮ついた所がない、真面目で重たい建築なんだけど、どうにも何か感じないのは何故だろう。。
同号の月評の原広司さんの文章に「樹木はなぜ、かくも建築的であり、かつ美しいか。なぜなら樹木には欲望がないからだ。。。」とありました。
そんな意味で、この建築にもどこか「欲望」が見え隠れしているように思いました。
表現としての建築にどこかなってしまっているような。。
そして同じ意味で、パラパラ誌面をめくっていても響く建築がなく、流して読んでしまったりというのがここ最近の傾向で、寂しく思いますが、それもやっぱり「欲望」が見え隠れした建築作品が多いからなのかなあって改めて思います。
そしてそんな美しい樹木なのに、大きくなると、人間達の取り決めによって伐採されざるを得ない世の中になっていて、なんて事だ!なんて原さんも書いています。
建築をつくるにあたって、かなりかなり意識的に「欲望」を抑えないと、普通はついついいやらしい欲望が勝ってきてしまいますが、それをきちんと抑えて建築をつくっている建築家たちというのが、やはり一流ですし、青木淳さんとか堀部安嗣さんとか、いいなって思えるのはそんなところかなって思ったりもします。