ロフトから

  • 2008.08.12
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ここのところ少し忙しくアップが遅くごめんなさい(^_^;)
9月末にできる住宅のロフトからですが、陰影のある面白い写真が撮れたので上げます。
谷崎潤一郎さんの「陰影礼賛」という本、ご存知と思いますが、日本に在った(過去形ですが)とても大切な美意識の一つですよね。
過去形ですが、と敢えて書きましたが、もちろん全く無くなったわけでもなく、心のどこかに隠れているのもありますが、「経済性」という乱暴者に押し殺されかけています。
もちろん、キャンプファイヤーとか、暗い部屋でのろうそくみたいなものがとても気持ちを高めたり、落ち着けさせたりということは皆さん知っているでしょうし、試しに住宅には不似合いな大きな蛍光灯の照明を消して、小さなスタンドの一つでもつけて、心やすらかにしばらく時間を過ごせばきっと誰にでも分かることだと思います。
最近信じられなかったのは、環境問題の名の下に、白熱球を作らない、使わない方向に世界的に動いていることです。
ご存知の通り、蛍光灯の電球色というのもあり、そちらの方が電力消費が少ないのでだから電球は悪だ!という論調ですが、でも似て非なる物なのです。
だから木目にそっくりの塩ビシートがあるから、木を切ってムクの木材を使うのを禁止する!なんて発想みたいなもので、いろいろ分かっている人間にはあり得ないことです。
と、話がそれましたが、陰影礼賛の世界。なかなか居室では今どきつくりにくい(ある程度明るくしないと今の生活には不便で)面もある中で、ロフト、というおまけの空間で自然と実現できたように思います。
ただ暗い空間ではなく、隣接して、明るい空間がありながら、彫りの深い陰影のある空間がある、という、「陰と陽」の中での陰影というか。。
もちろん光があって、陰と影があります。
皆さん知っていますか?影と陰という意味は違うのですが、光があって、物質があり、物質の中で光が当たらない面が陰、その物質によって光が遮られた面を影といい、意味が違いますし、英語などでももちろんそれぞれ違う言葉を持っていいます。
それをさておきも、光があって初めて陰影があります。
単なる闇の空間は恐ろしいけれど、光の空間とセットで、陰影の空間があるべきなのです。
でも近代以降、照明器具の普及などもあり、陰影が追放され、世界中が光で満たされるような世界になりつつあります。
人間は古代から太陽を崇拝しましたが、それは、闇の裏返しなわけで、やはり闇を畏れて来たのだと思いますし、闇が消えてしまうという事は高慢な人間を生み出すだけだと僕は思います。
と、変な持論はそろそろ閉じて。。。
でも、今は特に暑い夏です。
照明を落として、窓を大きく空けて、テレビなんてもちろん消して、たまには内面と向き合ってみましょう!。
自分の内面なんてって思うなんてダメで、人間の内面には宇宙にも負けない深さがあります。だって、自分が何者かなんて誰も答えられないでしょ?!
人間の生きる価値は、自分の外側にはないんだと僕は思っていますが、ちょっと老人みたいでしょうか。。